会社の再編集は痛みを伴う

東京チーム解体と友光だんご、日向コイケの両腕を切り離す決断
kakijiro 2026.01.20
誰でも

吐いた言葉は飲まないといけない。

2025年7月末から半年かけて、会社の解体準備をしてきた。ほとんどの人が「なんで?」となるだろう。会社10期目までなんとか黒字を維持してきて、関わるスタッフも少しずつ増えてきていた。それでも3年前に発表した「10年で解散」はずっと言葉として生きていたし、ちょうど10年の節目で大きな変化が重なったので決断に至る。

詳しくは年末年始に制作した3本の記事を読んでもらえたら。なんでもかんでも正直な文章を書くようにしているのは作家性とも言えるのかもしれないが、経営者の鎧を着ている間は当たり前に周囲への影響を考えてしまう。決断は狂気的かもしれないが、それ以降は大人として経営者として、しっかりとじっくりと、ひとつずつ向き合ってきた自負はある。どこまでいってもその配慮は足りないものではあるが……。

しばらくこの件についていろいろ聞かれることは覚悟しつつも、未来を見据えすぎた山師のような予測と本能から導き出した答えとしておきたい。いまHuuuuという会社は、とても難しい世界線に立っている。社会構造が大きく変わっているのだから当然といえば当然。振り返ったら明治維新ぐらいのインパクトがある時代の節目といっていいだろう。

そもそも、会社は幻想で出来ているとずっと疑ってきていたが、ふと立ち止まったら雲散霧消するぐらい弱くて脆いのがうちのビジネスモデルだ。なんせ広告依存。リアルな現実に身体ごとぶつかって、実体のある言葉をかき集める虚業みたいなもん。実と虚の行き来は編集の醍醐味だと思っているが、原動力のお金=売上が虚から生み出されているのはあまりにも不景気に弱い。

ここから実を目指した適正サイズの会社にシフトしなければならない。正確には実の柱を世に突き立てて、そこからおもしろい虚を生み出す。現時点で明確に見えているのは「出版」と「本屋」である。クラシックでオーセンティックな商売だが、誰がどう考えても非効率で利益率が低い。しかも、その間を繋ぐ「営業と流通」まで自社で担う無知のシステムに挑むのだから、きっと関係者は驚くだろう。アホなのかと。

旗振りと制作と行商はオール徳谷柿次郎。人間の限界を超えたいなんて1ミリも思っていないため、この時点でもうリソース崩壊が確定している。抗う術はなし。やると決めたことをやれる範囲でやるだけだ。悪魔はんと契約延長するしかないな。

今年、細胞の老化が一気に進むというリアル中年=44歳になるので死が2つよぎる。肉体の死と精神の死。加齢臭を神に捧げるぐらいしかできないけれども、この無謀ともいえる挑戦の裏には自分なりの見立てがあるし、10年続けてきた種まきの芽吹きも実感してきている。実から虚を生む方程式は、根性×時間×飛距離だ。なんか最後は根性ってのが本当らしいぜ。

だから心配しないでほしい。そして、安心もしないでほしい。いい距離感で助けてもらえたら、それはもう嬉しいに決まっている。

「過去は後頭部に貼りついていて、未来は存在しないから掴めないんだよ。ただ現在があるだけ。志を持って自分を大事にして、やりたいことだけをやればいい。ほかのことなんてどうでもいいんだよ。自分が大事にしたいことを広げて、その中に自分が好きな他者を入れていけばいい。そうしたら戦争なんて起きないだろ?」

一昨日、山形県鶴岡のマッドサイエンティスト農家(80歳)に三度目のインタビューをしたら要約すぎる上記の言葉を言われて本当にそうだよなと思った。現象を追いかけるなとも言われた。今年中に作らなければいけない本がまた増えて、思いついたタイトルは『思想体験アンビリバボー』。70代以降のレジェンドの思想に触れて、いまここに立っていることをしっかり綴じなければいけないな。今年も来年も自分のために頑張ろう。


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