娘が川の字で寝ない問題
我が家は畳の上に、シングルのマットレス×2で寝床を作っている。
私はNELLのマットレス、妻はコアラマットレス。寝具に統一感はなく、私だけエアウィーヴのええやつを重ねている。たぶん10万円ぐらいするエアウィーヴで、導入してから睡眠の質が確実にあがった。同時に出張先でエアウィーヴ以下の寝具だと眠りが浅くなった。トレードオフすぎる。
娘はもうすぐ1歳半なのだが、このマットレスの間で眠っている。基本は大晦日にぶっ倒れた曙スタイル。うつ伏せで突っ伏した状態でよく眠れるな?と思うが、20時過ぎまでに寝かしつけが成功したらそのまま朝7時までほぼ起きない。眠りすぎだろ。
そんな娘は川の字を無視する。まっすぐ川の字の真ん中の棒を演じてくれるわけもなく、ほぼ鳥居みたいになっていて、親の寝返りスペースを奪うのである。枕と枕を繋ぐように、ほぼ真横で眠っていて顔もがんがん蹴られる始末だ。聞いていた話と違う。川の字で眠る状態こそ、家族の幸せじゃなかったのか? いや、充分に幸せだと言いたい。
最近はしっかり意思疎通も取れるようになってきていて、発話の精度がぐんぐん上がっている。一週間でこんなに違うのかと驚くぐらいに。脳のアップデートが急激に進んでいるのだろうか。喜怒哀楽の切り替えも多くて早い。映画『インサイド・ヘッド』そのままな感じ。ここからジェットコースターのようにイヤイヤ期に入ってくるのか、すでにもうイヤイヤ期なのか。
「本当のイヤイヤ期をおまえはまだ知らない」
こんな声が先輩方から聞こえてきそうだ。日々とても忙しいけれど、娘の成長と可愛さは脳の損傷を回復してくれるヒーリング効果があるなと思う。マルチタスクで全国を飛びまわって、ありとあらゆる可能性を模索しながら、人生の経営を大胆にやっている身としてはありがたい。やさしくも柔らかいブレーキが生まれて、早めに帰るとか、1泊する出張を日帰りにしたりとか、お酒を飲む機会もかなり減った。
一方で、会社の在り方を問い直す作業の負荷はとても大きく、作家的に自分の表現で稼げる世界をもっと拡張しないといけないなと痛感している。再び戻った現場は少し荒んでいて、リモートワークとAIを前提としたコミュニケーションの齟齬、認識のズレはこのまま広がり続けるだろう。「気の合う」という前提が抜けたまま、意識が宿らないまま、多忙な時間軸の中で手触りが抜け落ちていく……。
社会の魂みたいなものが一気に失われるのだろう。今までの文化・価値観はあっという間に覆されて、再現不可能な有り様を咀嚼し続ける。その間に挟まれて、向こう数年の時間を徒労に終わらせてしまう気持ち悪さ。マイナス値をゼロに戻すためのゾンビになる恐ろしさ。強い意思をもってここから逸脱しなければならない。
川の字が作れないように、幸せの在り方も形を変えて受け入れる。思い込みを手放す。今までやったことのない行為に喜びを見出す。極論は「野糞」なんじゃないかとここ数日考えているので、近々パカーンコーヒースタンドで「野糞と備蓄」というイベントをやりたいと思う。このニュースレターを読んだ人は、仕事の合間にこの言葉を何度も反芻してほしい。
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