コロナ禍以来の歯医者

奥歯の詰め物が取れた
kakijiro 2026.03.18
誰でも

コロナ禍で数少ない良かったことといえば、10年以上ぶりに歯医者通いができたことだろうか。虫歯は痛い。そして怖い。治療するための歯医者も怖い。

謎のウイルスに襲われる恐怖は歯医者以上だったと思うが、コロナ禍初期に鏡を見ていたらとある違和感があった。「あーん」と大きく口を開けたら、下顎の裏側あたりの歯茎に見慣れない白いボコボコを発見したのである。

文字にすると嫌な印象を与えるかもしれないが、これはただの歯茎の状態だったのに、謎のウイルスバイアスによって「あれ、おれの歯茎が病気おかしいのかも!?」と勘違いしただけの話だ。もしかしたら歯がおかしいのかもしれない……そういえば歯茎から血もよく出るし、10年以上歯医者に行ってない。なんか暇だから歯医者に行こう!となって、2カ月ぐらい通ったのが5年ぐらい前だろうか。

そして先日。奄美大島から送られてきた黒糖よもぎ餅をむしゃむしゃと食べていたら、餅の中から銀歯が出てきたではないですか。おやおや。奄美大島のオバアの仕業かな?と一瞬躊躇ったものの、瞬時に異物混入を受け入れた。そんなこともある。ラーメンに髪の毛が入っていてもあまり気にしないし、調子がいいときは気にせず食べるぐらいのワイルドだろが必要である。

そんなわけはない。舌で奥歯のあたりをもぞもぞ触ってみたら、銀の詰め物が取れていた。こんな奄美大島のよもぎ餅でとれるもんなのか?と。なんたって奄美大島だぞ?と。全国取材の果てに辿り着いた奄美大島のよもぎ餅。それはただのふるさと納税の返礼品だったのだが、このままだと奥歯が気になって仕事に集中もできない。レビューの高い近所の歯医者へ駆け込んだ。

この歯医者さんが大当たりだった。とにかく褒め上手。口腔内のレントゲンを撮って、写真を見ながら「いや〜、立派な歯茎ですね。歯がしっかり生えている。これは大したもんだ」とベタ褒め。歯茎を褒められることなんで人生でなかなかないと思う。なにかこう軸足がしっかりしているような。地に足ついているような。立派な大人として認められたような。そんなニュアンスを勝手に受け取れたのは、割とポジティブなのかもしれない。

しかも、前に通っていた歯医者の技術を褒める褒める。「難しい処置なのに、丁寧な仕事をしてますねこれは…」「すばらしい歯医者ですよこれは」「大したもんです」と絶賛。この褒め方は見習うべきだなと思った。目の前の患者だけでなく、前の歯医者まで褒める。編集者として原稿を褒めることはあれど、2個ぐらい前のバージョンの原稿を褒めることはなかなかないので、今後は完成した原稿を褒めたあとに、初稿の原稿段階を褒めよう。

通うこと三度目で、ほぼ痛みもなにもなく新しい銀歯を装着した。なんてすがすがしい気持ちなんだろう。奥歯は一番力を受け止める箇所なので、銀歯の詰め物が数年で外れてしまうのは珍しくないそうだ。ここ数年は疲れやすくていびきもひどいし、たまに歯ぎしりをしているとも聞く。経営者としてのストレスが銀歯を破壊する……なんて悲しい事実なんだろう。

ここ最近、銀歯は金の高騰に引っ張られて高くなっているそうだ。数年前なら2000円程度だったのが今回は保険適用で4000円強。銀歯の価格が二倍なっている。冗談交じりで先生に「戦争が始まる前に虫歯を全部治したほうがいいですね」といったら、「いや、本当にそうです」と真顔でいわれた。

みんな歯医者に行こう。

2026年4月以降、このニュースレターはサポートメンバー限定の有料プランに移行しようかなと思っています。元々、Huuuuの各事業含めたローカルで経営するリアリティを伝えたいと思って始めたので。よかったら月額制でもよろしくお願いします。

無料で「徳谷柿次郎の「独立未満レター」」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。

すでに登録済みの方は こちら